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経営に正解はないが原理原則はある

経営・マネジメント

王道経営

勝ち残る企業だけがやっていること

著者:新 将命
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2017年3月9日

著者について

新 将命(あたらし まさみ)。株式会社国際ビジネスブレイン代表取締役社長。1936年東京生まれ。早稲田大学卒。シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスなどグローバル・エクセレント・カンパニー6社で社長職を3社、副社長職を1社経験。現在は株式会社ティーガイア、ライザップグループ株式会社を含む数社の社外取締役を務める。長年の経験と実績をベースに、国内外で「リーダー人材育成」の使命に取り組んでいる。

本の概要

誕生してすぐに潰れてしまう企業が山ほどある一方で、数百年も続くような老舗企業があるのはどうしてだろうか。失敗している企業と成功している企業では、何が違うのだろうか。それを解き明かすのが本書のメインテーマだ。

経営には「こうすれば絶対に成功する」という正解はない。

だが、「こうすれば会社は良くなる」という進むべき道は存在する。つまり、経営の王道は存在するのだ。そして激しい時代の変化に打ち勝ち、永続的な価値を生み出し続ける企業は、例外なく原理原則に則った「王道経営」を行なっているのだ。

ひとたび「王道」から足を踏み外すと、元に戻るのは難しい。目先の利益だけにとらわれ、権力欲や名誉欲に溺れてしまうと、その先に続いているのは破滅への一本道である。この王道経営の原理原則から外れた道を「邪道」という。

邪道への誘惑を断ち切り、王道経営を貫ける経営者は、全体のたった2%程度に留まる。だが本書の原理原則を正しく理解し、王道を歩み続ければ、会社を永続的に繁栄させることができる。ビジネスを成功に導く道標。まさに、経営者必読の一冊だ。

読んだ感想

「規矩作法 守り尽くして破るとも 離るるとても本を忘るな」

この詩は、安土桃山時代の茶人である千利休が詠んだものです。「規矩(きく)」とは、考えや行動の規準とするもの。つまりこの詩では「教えを守り続け、ときにはそれを打ち破り離れていく事も大切であるが、そこにある基本精神は決して忘れてはならない」ということを表現しています。幾ら経験を積み、自信を持ったとしても驕り高ぶってはならない。茶道のみならず、武道、華道、神道、全ての「道」で一流になる方々は、誰よりも基本を大切にしている方々だと感じます。

これと同じことは、会社経営の世界でも言えます。本書で紹介されている松下幸之助先生は勿論のこと、「教科書通りの経営」で有名な星野リゾート代表取締役の星野佳路先生、「凡事継続」を実践する伊那食品工業の塚越寛先生など、一流と呼ばれる経営者は何よりも基本を大切にしています。つまり、邪道に足を踏み外すことなく、進むべき正しい道を進み続けた経営者だけが、会社を永続的な繁栄へと導くことができるのです。千利休の詠んだ歌の「本を忘るな」を会社経営に当てはめると、「王道経営を決して忘れてはならない」ということになるのではないでしょうか。

さて、本書で私が学んだ原理原則の中で、特に印象に残っているのは「結果としての利益を重視する」というものです。多くの経営者は「会社とは営利を目的とする組織である」と考えますが、王道経営を行う経営者はそのようには考えません。王道経営に於いては「会社の目的は理念や使命の実現であり、利益とは会社の事業が妥当性のある正しいビジネスか否かを測る成績表のひとつである」と考えます。この原則を、私は常に心に留めておかなければならないと感じました。

利益を目的と考えていると、会社は利益至上主義に陥ってしまい、邪道へ足を踏み外してしまいます。企業実体の改善を怠りながら、情報操作を行なって会社の見かけを取り繕い、株式時価総額を上げるという不正がいつの時代にも無くならないのは、この利益至上主義や株主第一主義という「邪道」に陥る経営者が多いことを表していると感じます。日本経団連は2006年に発表した『企業価値の最大化に向けた経営戦略』の中で「一時的に株主を幻惑し、株式時価総額が高まったとしても、それは見かけ上だけであり、真の企業価値の向上とは全くの無縁である」という強いメッセージを発信していますが、それから15年以上経った現在においても、名門企業における不正会計・不祥事は後を絶ちません。「闇夜に目あり」という言葉があるように、うわべだけを取り繕ったところでいずれ邪道は露見します。邪道に陥った会社が、長寿企業になることはあり得ないのです。

私は、企業価値は利益や株式時価総額などの経済的な取引価値のみで測られるものではなく、従業員や取引先、地域や社会の貢献も含めた企業の存在価値としての意味があると思っています。著者も本書で「多くのインベスター(投資家)は、目に見える定量的価値にばかり目を奪われるが、より重要なものは定性的価値のほうにある。」と語っていますが、まさに言い得て妙です。会社の未来を映すのは、経営者、社員、技術、信用、将来性といった定性的な価値であって、定量的な利益などの指標ではありません。そして定性的な企業価値の向上は、会社の理念や理想像という、遠大で壮大な目標を達成しようとすることで向上するのだと痛感しました。

最後に、本書では「王道経営は勝ち残ることが『必要条件』だとするならば、三方よしが『十分条件』である」と述べられています。会社にとって利益は血液のようなものなので、利益は大切ですが、それを目的にしてはいけません。しっかりと利益を出しながらも、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」を実践することで、会社は永続的に繁栄することができます。渋沢栄一先生が「論語と算盤」で語っているように、社会貢献をしながらも、結果としての利益を重視することが大切です。私も、本書で学んだことを実際の会社経営の現場で実践しながら、永続的に利益を上げ続け、社会貢献し続けられる会社に導けるよう、日々精進していきます。

印象に残った言葉【本書から引用】

経営者とは、継続して繁栄する会社、持続的に成長する会社を創る人である。(p.31)
二流経営者は、正しい経営の原理原則を知っていて、それを実行する人である。対するに一流経営者は、知っていることを「実行し続ける」人である。(p.64)
将来の成功を妨げる最大の敵は、過去の成功である。経営者が黄金のループを回し続けるためには、変えてはいけない不易(原理原則)の部分は、情熱と勇気を持って変えないことと、一方、変えるべきことは徹底的に変え続けなければならない。(p.85)
利益は、会社の行っている事業、あるいは事業のやりかた(経営)が正しければ、きちんと出てくるし、間違っていれば出ない。つまり、利益とは、事業、経営のよしあしの結果であって、利益を上げるために会社を経営すると考えるべきではないということだ。(p.227)

AUTHOR天野 勝規

株式会社まほろば 代表取締役

士業専門の集客・顧客開拓支援会社「株式会社まほろば」の代表取締役。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上から問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
保有資格:社会保険労務士(事務所経営に15年以上参画)

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