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「モノを売るためのマーケティング」から「ブランドを輝かせるためのマーケティング」へ

集客・マーケティング

クリエイティブなマーケティング

パーパスを起点に新しい顧客体験をつくるPJMメソッド

著者:藤平 達之
出版社:現代書林
発売日:2021年12月3日

著者について

藤平 達之(とうへい たつゆき)。株式会社博報堂/株式会社SIX。ストラテジック・クリエイティブ・ディレクター/UXデザイナー。1991年神奈川県生まれ。2013年博報堂入社。ブランドパーパスと生活者のインサイトの組み合わせから戦略を描き、ブランドを体現するコアアイデアを起点に、あらゆる領域で顧客体験を形にする。サービスやプロダクト開発の経験も多く、投資サービスやXRプラットフォーム、IoTプロダクトなどを担当。自身のアプローチを「PJMメソッド」として体系化し、「ad:tech tokyo 2020」への登壇など、講演・寄稿も多数実施。これまでに、「2020 60th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS 総務大臣賞/ACCグランプリ」などを受賞。

本の概要

「モノを売るためのマーケティング」はもう通用しない。
これからは「ブランドを輝かせるためのマーケティング」をしていく必要がある。

これが、著者が読者に伝えたい一番のメッセージだ。

かつてのマーケティングには「常にモノが欲しい生活者」が前提にあった。
例えば、昭和30年代初期には電気洗濯機・電気冷蔵庫・白黒テレビが「三種の神器」と呼ばれて普及し始めた。その後、昭和30年代後半になるとカラーテレビ・クーラー・自家用乗用車が「3C」と呼ばれて「豊かな生活の象徴」となった。

そして一度モノを手に入れた生活者は、今度は機能やスペックが高い商品や価格が低い商品を欲しがるようになった。競合が1000万画素のテレビを出したなら、ウチは1200万画素で出す。競合が10万円で販売するなら、ウチはなんとか9万円で売ろう。そんな競争戦略に根ざしたかつてのマーケティングが主眼とするのは「いかにモノを売るか」であった。

だが、そんなふうに競争を続けていった結果、市場には「価格が安止まりしてスペックが高止まりした製品」が溢れるようになった。そして企業同士の行き過ぎた競争についていけなくなった生活者は今使っている製品の性能に満足してしまい、モノを欲しくなくなってしまったのだ。まさに「競争の終焉」が訪れてしまったのだ。

だからこそ、これからは「モノを売るためのマーケティング」ではなく「ブランドを輝かせるためのマーケティング」をしていく必要がある。今や生活者はただスペックが良いだけの「NO1」の商品ではなく、そのブランドらしさがある「ONLY1」の商品を求めているのだ。

そして本書では「ブランドを輝かせるためのマーケティング」の具体的な方法(PJMメソッド)が、多くのケーススタディとともにわかりやすく解説されている。これまでのマーケティングの常識を覆す、新しい価値と顧客体験を生み出す最新のマーケティング手法をぜひ本書で習得していただきたい。

読んだ感想

本書で引用されているApple創業者のスティーブ・ジョブズの言葉に、このようなものがあります。

「美しい女性を口説こうと思ったとき、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい?そう思った時点で君の負けだ。ライバルが何をしようと関係ない。その女性が本当に何を望んでいるのかを、見極めることが重要なんだ」

これが、モノが溢れる現代においてのマーケティングのあるべき姿です。スペックの競い合いをしてモノが売れる時代はもう終わりました。これからの時代は、自社のブランドらしさや生活者の気持ちに焦点を当てながら「相手が望んでいる本質を見極めた上で最適な行動をすること」が求められるのです。そして本書で紹介されている「PJMメソッド」は、このことを主眼に置いて開発されたマーケティングの新常識と言えるでしょう。

さて、ここでPJMメソッドについて軽い説明を挟みましょう。PJMメソッドとは1文で説明するなら「3C分析の要素や視点はそのままに、順序を逆転させ、それぞれの概念を時代に合わせてアップデートしたマーケティング手法」です。

3C分析とは従来のマーケティング分析における代表的なアプローチ方法であり、Customer=顧客(生活者)、Competitor=競合、Company=自社ブランドの3つの視点で分析を行って、取るべき戦術を導き出す手法です。Customer(顧客)→Competitor(競合)→Company(自社)という順序が推奨されていて、多くの場合、その順序で行われます。結果、「生活者がこのような状況にあって、競合はこういうことをしているから、自社のブランドはこうやって対応しよう」というストーリーを描いています。

一方でPJMメソッドは、この「3C分析」の順序を逆にしたアプローチ方法です。つまり、Company(自社)→Competitor(競合)→Customer(顧客)という順序で分析を行います。そしてCompanyを捉え直す視点として「パーパス:ブランドの社会的な意義・志」、Competitorを捉え直す視点として「ジョブ:本当の欲求と新しい競合・パートナー」、Customerを捉え直す視点として「モーメント:チャンスになる気分・瞬間」というふうにそれぞれの概念をアップデート。その結果PJMメソッドはブランドらしさから考え、競合を見直し、生活者との接点を考えるという順番で分析を行うことで、旧来型の「モノを売るためのマーケティング」ではなく「ブランドを輝かせるためのマーケティング」を実現しています。

私自身も、現代は「ブランド」や「その商品/サービスらしさ」が求められる時代になってきていると感じます。それを象徴する事例として最初に思いつくのは「文喫」です。文喫とは、東京都港区にある「入場料のある本屋」であり、自らを「本と出会うための本屋」として位置付けています。

昨今の急速なインターネットの普及により、人々は書籍を書店からではなくAmazonなどのECサイトから購入したり、電子書籍を利用したりするようになりました。かくいう私も、本書を電子書籍として読んでいます。この「リアル」から「オンライン」へという流れに伴って、出版業界全体としての市場規模は縮小しているものの、電子書籍の市場規模は拡大、リアルの書店は店舗数を減らし続けています。その結果、顧客としては、書店に行かずとも読みたい本をすぐに読めるという点で利便性は非常に向上しました。

しかしその代償として「本屋に行って、素敵な本に偶然出会ったり、予想外の発見をする」というセレンディピティは失われてしまいました。そこで文喫は、自らの存在意義を「本と出会うための本屋」として位置付け、そこでの体験を通じて顧客に「本との偶然の出会い」という唯一無二の価値を提供しています。

文喫に揃えている本は全て店員が一冊一冊厳選した本であり、店内には本と出会うための様々な仕掛けが施されています。本は全て店内で読み放題であり、テーブルのみならず寝そべって本を読むスペースや個室まで存在します。さらにバーキッチンも併設されているので、アルコール類やコーヒー、お茶を飲みながら、あるいは食事をしながらゆっくりと気に入った本を読むことができます。さらに一つの本を手に取ると、それに関連した本が目に入るような特殊な配置をしており、文喫全体がセレンディピティが創出されやすい構造となっています。まさに「本と出会うための空間」です。

ただモノを売るという従来の視点では、きっとこの文喫は誕生しなかったでしょう。文喫は「本と出会うための空間」という「ブランド」を輝かせるためのマーケティングに成功したからこそ、他の本屋や電子書籍と差別化し、新しい価値を創造できたのだと感じます。顧客は2000円弱という高い入場料を払ってでも、そこでしか手に入らないセレンディピティを求めて文喫へと足を運んでいます。同様に、これからの時代はさらに「ブランド」や「その商品/サービスらしさ」にお金を払う人が増えてくると思います。そして本書は、そんな「ブランドを輝かせるためのマーケティング」を行うための具体的なメソッドが詰まった、実践的な一冊だと感じました。

印象に残った言葉【本書から引用】

「属性から個を決めつけられない」けど「n=1を正確にターゲティングしきれない」のが、マーケティングの今置かれ始めている現状です。(p.27)
社会からの共感・賛同・応援が多く集まるものこそが、いいパーパスなのだと思います。(p.62)
PJMメソッドは「3C分析」を逆転させて作った、ブランド・競合・生活者を捉える視点をアップデートできる、マーケティングのメソッドである。(p.88)
3C分析から4Pで打ち手の整理につながっていくように、PJMからUX(顧客体験)の設計につなげていくわけです。(p.143)
生活者を幸せにするためにブランドがあって、そのブランドを輝かせるためにマーケターやクリエイターがいる。(p.224)

AUTHOR天野 勝規

株式会社まほろば 代表取締役

士業専門の集客・顧客開拓支援会社「株式会社まほろば」の代表取締役。
独立開業時の集客・顧客開拓に関する相談から、年商数億円規模の事務所のマーケティング顧問まで幅広い対応実績。15年間で3,000事務所以上から問合せ。
ホームページを活用しつつも、SEO対策だけに頼らない集客・顧客開拓の仕組みづくりを推奨している。
保有資格:社会保険労務士(事務所経営に15年以上参画)

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